ラブリー
「なずな?」

経緯を振り返っていたら、三平に名前を呼ばれた。

「えっ…ああ、えっと…」

わたしは気を落ち着かせると、
「その…何で急にそんなことを言うの?」

三平に聞いた。

「何だ、覚えてないのかよ」

三平はやれやれと言うように息を吐いた。

「な、何を?」

何を覚えてないと言っているのだろうか?

「まあ、お互い酔っ払っていたから覚えていないのかも知れないけれど」

三平は呟くように言うと、
「入社してから2週間くらいだったっけ?

その時もこうして2人で飲んでいた時のことを覚えてる?」
と、言った。

「ああ、何かあったね」

その時も今みたいに2人で飲みながら、お互いの身の上話をしあっていた。
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