完璧執事の甘い罠


「ですが、これはひな様のもの。お返ししようとずっと思っていたのですが遅くなってしまい申し訳ありません」

「・・・」



敵国に行く前に・・・か。
私は何を想って?



「・・・これは、私が以前アリス様・・・ひな様の母上様に私が贈った物なのです」

「お母さんに?」

「はい・・・。ですからひな様は私に・・・と」




でも・・・だからって、私がこれを手放すなんて。
これは、だって。お母さんの大切な形見なのに。



「返さなくてもいいです」



考えた結果、私はそう答えた。
ジルさんは驚いたように目を見開く。



「なぜ・・・?」

「私がこれをジルさんにあげたってことは、きっとそれだけの想いがあったからだと思うから」




今の私にはわからないけれど。




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