完璧執事の甘い罠


「そう。だからね、僕が居なくてもこの国は兄が継ぐよ」

「でも、エリックさまの気持ちは・・・」

「ひな様が愛した国を護れるのなら、それは幸せなことでしかないよ」




どこまでも、いい人。
この人ならきっと素敵な王さまになれるだろう。
この人が、アルバーナを護ってくれるのなら。



「王さま・・・、おじいさまが許してくれるかしら」

「大丈夫。相談した僕にこの話を持ちかけてくれたのは、紛れもなく王さまなんだ」

「え・・・」

「王さまも、仰っていた。ひな様に幸せになってほしいと。なにも知らないひな様にたくさんの試練を与えてしまった事、申し訳ないと思っていると」

「そんな・・・」

「だから、ひな様の幸せを願っていると」





涙が零れた。
辛いのか、悲しいのか、嬉しいのか、わからない。
こんがらがった感情が込み上がってきて。


私、愛されてる。
誰もいないと思っていた世界。


一人ぼっちだったって思っていた世界には。
まだこんなにも私を想ってくれる人たちがいる。




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