副社長は束縛ダーリン
それにハッと気づいて私から唇を離し、彼に向き直る。
はだけた左右の布地を合わせて胸元を隠し、はにかみながら、彼に自制を求めた。
「悠馬さん、うちはダメだって言ったじゃないですか。壁が薄いから、声とか振動が……」
古いアパートなので、行為に及べば、隣や下の住人に気づかれてしまいそう。
それは前もって伝えてあるので、悠馬さんがこの部屋に上がることはほとんどなく、週末は私が彼のマンションにお泊まりしている。
だから、その気になっている彼には申し訳ないけど、今日は我慢してもらうしかない。
そう思って止めたのに……。
「あっ!」
強引にパジャマを脱がされ、彼の手が普通サイズの私の胸を弄び始める。
「声が出せないよう、唇は塞いであげる。振動は……消せないけど、苦情がきても別にいいよね」
「よくないですよ! 追い出されちゃいます」
「それは願ったり。早く追い出されて、俺の部屋に越してきて」
再び唇が重なって、そこからは文句を言わせてもらえなかった。
彼は私を支配したい人。
その愛情を惜しげもなく言葉や態度で示してくれるのは、私がどこかへ行ってしまいそうな不安を抱えているからなの?
そんな心配はいらないのに。
束縛されて喜ぶ私は、相当に彼にはまっている。
私の方がきっと愛情が深いですよと言ってあげたいけれど……口を塞がれては、心の中で囁くことしかできなかった。