副社長は束縛ダーリン

ステージ上には大型モニターが用意され、そこに結果が映し出されることになっている。

準備をしてくれたのは、企画に協力してくれたゴトーヨーカドーの担当者で、司会もお願いしている。

ステージ前には椅子が並べられ、通りすがりの買い物客や、発表後に無料で配られる冷凍コロッケを目当てにやってきた一般の人たちが五十人ほど座っている。

みな、早く始めろと言いたげな顔をしているが、私は発表を聞くのが怖い。


この催しには、それぞれの社から三十名ほど社員を連れてきていて、ユキヒラ食品は先月末頃のレシピ発表の会議と大体同じ顔触れだ。

ステージ袖で談笑しているのは、『勝てればいいな』という程度ののん気な認識を持つうちの社長と、おそらく望月フーズの社長と思われる人。

そのふたりの横には、笑顔の望月さんもいた。


社長ふたりの会話に混ざっていた望月さんは、うちの社長に会釈すると、ひとり、その場を離れてどこかに向かおうとしている。

オフホワイトのスーツを素敵に着こなす彼女は、雪の女王と言いたくなるような風格を持って見える。

それに対して、私はというと……。

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