副社長は束縛ダーリン

ドラムロールがスピーカーから流れてきて、「それでは対決十日目の売上個数から発表します」という司会者の声を聞いた。


とてもじゃないけれど目を開けていられない。

目を固く閉じた私は顔の前で、両手の指を祈るように組み合わせていた。


「望月フーズ『大人の贅沢コロッケ』最終日の売上個数は……七百八十七個です!」


七百八十七、ということは……。

私にとってはありがたいことに、大幅に売上が落ちている。

でもそれが、九日目までの百万円の差を覆せるものなのかは、まだ分からない。


「続きましてユキヒラ食品『北朱梨のキタアカリコロッケ』十日目の売上個数は……七千八十六個です! これは驚く数字ですね〜」


七千八十六!?

土曜日だった九日目も六千近い数字を出したけど、さらに千以上の伸びを見せてくれるとは……。

買いだめしてくれたリピーターが大勢いたに違いない。

私のコロッケが世間に受け入れられた証拠で、ありがたくて涙が出そうになる。

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