副社長は束縛ダーリン
一瞬、喜びそうになった私だが、その気持ちを抑え込み、まだ目を閉じたまま。組んだ指も外せない。
勝敗は十日間の売上総額で決まるので、まだ分からない。
すぐに計算できる頭を持ち合わせていないから、期待と不安の狭間で心は揺れ動いていた。
私の後ろに並ぶ、社長や悠馬さん、他の社員たちの間からはボソボソと話す声が聞こえてくる。
「勝った……?」
「いや、待て。ちゃんと計算しろ」
「ものすごい僅差じゃないですか?」
ざっと暗算しただけじゃ分からないような僅差なの……?
ほんのわずかな差で勝ったのは、一体どっち!?
自分の鼓動が耳元で聞こえるほどに、激しく心臓を波打たせ、指を組み合わせた両手が微かに震えていた。
聞くのは怖いけど、心臓が壊れる前に早く言ってほしい気持ちにもなる。
強い緊張感に頭の回線が切れてしまいそうで、『誰か助けて!』と叫びたくなっていた。
一度止まったドラムロールがまた鳴り始めた。
司会者がマイクに向けて、「それではいよいよ、十日間の売上総額の発表に参ります」と声を大きくした。