【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
きゅっと口元を引き締め、眉間にシワをよせる。
いつものような、可愛げのない仏頂面を作った私に、専務は優しい声で言った。
「俺と詩乃ちゃんにしか見えないんだから、急いで今すぐ成仏させようなんて考えなくてもいいんじゃないかな」
そうにっこりと笑った後に、専務はクミコさんのほうに視線を投げる。
「どう思います?」
専務にそう問われ、クミコさんは少し呆れたような表情で、逞しい肩を上げた。
「まぁ、憑いてる猫も悪意があるわけじゃなさそうだし、それでいいんじゃない?」
そういうことで、と納得した専務とクミコさんに、私は慌てて口を開く。
「でも……、私はよくても専務はそれでいいんですか?」
「どういう意味?」
首を傾げた専務に、言いにくくて俯いたままぼそぼそと話す。
「仕事中、こんな猫耳と尻尾を生やした女が近くにいたら、気が散るというか、気持ち悪くないですか?」
「いや、ぜんぜん気にならないよ」
専務は私の言葉に明るく笑い、首を横に振る。