〜甘く、危険な恋〜止まない、愛してる。
-4-
ーー退社時になって、会社から出ようとしたら、
「…斉木さん」
唐突にまた、腕が引かれた。
「…あっ…」と、よろめいて振り向くと、
「……今、帰り?」
あの人が、背後で笑っていた。
「……やめてください」
その笑い顔を睨むようにも見て、つかまれた腕をほどく。
「……どうして?」
資料室での件もなかったことにするかのように、本気でわからないという表情で、首を傾げるのに、
「……どうしてじゃないです」
周りの目が気になって、少し声をひそめて言い返す。