おはよう、きみが好きです



ーーガラガラガラッ!!


「や、八雲っ!!」



勢いよく開け放った扉の先に、ベッドに横たわる誰かを見つける。

ゆっくりと、ベッドへ歩み寄った。


アッシュがかったブラウンの髪。

右耳に光るピアス。

確かに、今目の前で眠っているのは……八雲だった。



「八雲……?」



静かに、瞳を閉じている八雲に、胸がざわつく。

額には包帯が巻かれ、頬には大きなガーゼが痛々しく当てられてる。

あたしを……命懸けで守ってくれた証だった。



「お願い、目を覚まして……」



あたしは、祈るような気持ちで、眠る八雲の左手を両手で握りしめた。


冷たい……血の気の失せた顔も合わせて見ると、まるで……。

死んでしまったよう……だなんて。

そんな不穏なことを考えて、あたしは頭をブンブンと振った。


「八雲、あたしに伝えたいことがあるって言ったよね?待っててくれるんでしょう、あたしのことっ」



本当なら、ここではなくて保健室で出会うはずだった。

あたしたちの始まりの場所で、もう一度きみに伝えるはずだったんだ。



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