おはよう、きみが好きです
「やめてーーっ!!」
――バサバサバサッ。
自分の叫び声で、ハッと目が覚めた。
お昼くらいなのか、窓から見える太陽が高い。
飛び起きれば、体がズキズキと痛む。
その痛みに、あの事故が現実なんだと思い知らされた。
「うぅっ……こんなのって……」
震える体を両手でギュッと抱きしめる。
周りを見渡せば、白で統一された天井に床。
ツンと鼻に刺さるような消毒液の匂いに、あたしが病院に運ばれたのだと分かった。
「あ……神崎さん、目が覚めたのね!?」
部屋に訪室してきた看護師さんが、あたしに駆け寄ると、ナースコールを押す。
「あっ、あの!!八雲は……難波 八雲はどこにいますか!?」
「えっ……あ、一緒にいた男の子ね」
「八雲は、無事なんですか!?」
「今、隣の部屋で休んで……って、神崎さん!?」
看護師さんの話を最後まで待てずに、ベッドから飛び出した。
八雲が、隣の部屋にいるって。
早くっ、八雲の顔が見たいっ。
声が聞きたいっ、あたしを安心させてほしいっ。
痛む体にムチを打って、足をもつらせながら、あたしは隣の個室の扉に手をかけた。