おはよう、きみが好きです


「あいつ、今何してっかな……」


泪の事を考えてたら、ほとんど無意識に携帯を握りしめていることに気づいた。


今、泪の声が聞きたいなんて言ったら……。

泪は、俺のこと……なんて思うんだろうな。

『通話切らせていただきますわ』って言われそう。



「ぶっ、本当にあいつ……俺をこんなに悩ませるとか、大物だろっ」


まだ、電話で話したくらいの仲なのに。

素の俺でいられる、不思議な距離感。

もっともっと泪に近づきたい。

もっとアンタのことを知って、俺が抱く想いの名前を知りたいから……。



俺は迷わずに、携帯の発信ボタンを押した。

もちろん相手は神崎 泪、アンタだから絶対に出ろよな。


< 39 / 259 >

この作品をシェア

pagetop