おはよう、きみが好きです
そう言っても、上手くいかないのが人生。
昼休みも俺は女の子たちに捕まって身動き取れず、保健室に行けたのは、放課後になってしまった。
さすがに見かねた雪人が、
「話しなら、俺が付き合うよ」
「ええっ、雪人くんが!?」
「きゃーっ、超レア!!」
すまん、雪人!!
いつもなら女の子に絡まれる前に退散するのに。
後で、絶対に文句言われるだろーけど!!
そう言って王子様スマイルを振りまき、代わりに足止めしてくれた。
「はぁっ、泪っ……っ」
俺は全速力で保健室へと走った。
――カラカラカラッ!!
「泪、遅くなって悪かった!!」
叫びながら保健室の扉を開け放つ。
すると、返事は返ってこない。
代わりに、窓にもたれて眠っている泪の姿を見つけた。
「泪……寝てるのか?」
そばに寄ると、スヤスヤと規則正しい寝息を立てて眠っている泪。
うわ……まつ毛すげー長いのな。
風に靡くストレートの黒髪が柔らかそうで、つい手を伸ばして触れてみた。