ソウル・メイト
千鶴は、父親である夫に逆らうことなくついて行った。
「和美おばちゃん」という名前を聞いても、嫌がるそぶりすら見せなかった。
あの人は私が働いている週末の間、何度自分の女のところへ、千鶴を連れて行ったのだろうか。

『ママ、バイバイ・・・』

耳を塞いでも、あの時の千鶴の言葉が聞こえる。
目を閉じても、二人が出て行ったあの場面が見える。何度も何度も。

まさか、あんな展開になるとは思ってなかった私は、ただ茫然と突っ立っていることしかできなかった。
二人を引き留めることすら忘れていた。

夫は、自分の意志で出て行った。
こんなことは初めてだったけど・・そのうち帰ってくるだろう。
でも千鶴はまだ、4歳の子どもだ。
あの人は自分の娘を可愛がっている。だから、千鶴をどこかへ置き去りにすることはないはず・・・。
と考えたところで、今日は月曜日だったと気がついた。

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