ソウル・メイト
2年経っても私はまだ、あの人たちが千鶴の育児を一時的にでも放棄したことを許すことができていないのか・・・いや。
あの出来事で私は、母親として、そして人として、自分自身がいかに無力かということを、思い知った。
そんな自分のことを、2年経った今でも、私は一番許せないと思っている。
とにかく、千鶴は無事だった。生きていたんだ。
何もかもが手遅れになる前に、あの女が千鶴を私の所へ返してくれたことに、感謝しなくては。
・・・怒りに任せて安藤先生の茶碗を割らなくて良かった。

私は自分の手元と、手に持っている泡のついた茶碗を見た。

< 62 / 128 >

この作品をシェア

pagetop