ソウル・メイト
今はまだ、これでいい。
でも、千鶴はそのうち「自分の部屋が欲しい」と思うようになるだろう。
私だって、一人になれるスペースが欲しいと思う時があるし。
・・・ということは、今住んでいるアパートよりも広いところに引っ越さなきゃいけないことになる。
役所から手当てをもらっていても、今の家賃で生活費はギリギリだ。
その上、これからどんどん成長していく千鶴には、着るものや靴にもお金がかかる一方だ。
この先絶対必要になる千鶴の学費も、今から貯めておかないと―――。

そこに不満は全然ない。
むしろ、母親として娘に十分な愛情と物を与えているだろうかと思うと不安で、いつも千鶴に我慢させっぱなしじゃないかと思うと、「ごめんね」と謝りたくなる。

・・・いいな、安藤先生は。
少なくともこの家は、スペース的に狭いと困る事は全然ない。
そんな家で一人で暮らしている先生のことが、今はちょっと・・羨ましく思う。

< 63 / 128 >

この作品をシェア

pagetop