ソウル・メイト
そして「安藤小児科」は、うちから一番近い病院でもある。
どこか遠くへ引っ越しでもしない限り、千鶴が病気になったら、「安藤小児科」に行くことになる。
「安藤小児科」にいる先生は、安藤先生一人だけ。
つまり、先生とは、クライアントとの関係が終わっても、また「安藤小児科」で千鶴がお世話になる可能性がある、ということになる。
今後のことを考えると、やっぱり「行きたくない」という理由で断るのは、大人のワガママというか・・・。

お花見に誘ってくれた安藤先生の好意を、重たく感じる必要なんてない。
そうよ。これは「好意」なんだから。
ちょうど、近いうちに千鶴と桜の花を見に、参堂公園へ行こうと考えていたところだったし。
むしろこれは私たちにとって、同年代の人たちと交流を計れるチャンスじゃない。

窓ガラスに貼りつけてある3つのテルテル坊主を見た私は、顔に苦笑を浮かべだ。

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