マ王の花嫁 
19
でも、さっき聞こえた「魔王様」という言い方は、ライオネル王の事を恐れているように感じなかった。
むしろ、親しみを込めてそう呼んでいるような・・・だから王本人に聞かれても平気!といった風で。

それに、ガンザの民も・・・少なくとも、さっき私たちを歓迎すべく、馬車の周りを囲んでくれた人たちや、畑にいる人たちは皆、王のことを恐れてはいないし、王自身、恐怖心を表出して統治しているようにも、全く見えない。

静かに流れ始めた不穏な空気を変えるように、ライオネル王は私に向かってフッと微笑みかけた。

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