マ王の花嫁 
21
「だ、ダメ・・やっぱり、ダメです」
「何を恐れている?俺はおまえを殺したりはしない」
「分かってます!そんなこと・・私・・・私だって・・・」

顔を左右にふりながら数歩後ずさった私は、パッと踵を返すと、扉の方へと歩き出した。
そして、ノブに手をかけたその時。

「おまえが恐れている事は、おまえの“能力”と関係があるのか?」とライオネル王が聞いてきた。

思わずノブに触れている手が、ビクンと跳ねる。

「どうなんだ?マイ・ディア」
「・・・いいえ。関係はありません。だって私・・・私は、“能力”なんて持ってませんから」

どうにか普通に「おやすみなさいませ」と言えた私は、扉を開けて、ライオネル王の方を見向きもせずに閉めると、ズンズンと歩いた。
そして、サッと自室に入ると扉をバタンと閉め、背をそこに預けた。

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