マ王の花嫁 
「それが12年前の事です。当時12歳だった私は、生きるために、市場にこっそり忍び込んでは食料を盗んで飢えをしのぐ、という生活を送っていました。しかしある日、りんごを盗もうとしたところを、店主に見つかってしまって・・・。その時私を助けてくださったのが、バーバラ前王妃様です」
「まぁ。そうだったの」
「バーバラ様に助けられた私は、それから王宮のメイドが住む宿舎へ住まわせてもらう事になりました。まだ私は12歳だったこともあり、学校へ通わせてもらう傍ら、メイドの仕事をこなす、という生活を始めて。でも、それから2年後に、バーバラ様がお亡くなりになってしまわれて・・・。それで私は決めたんです。今度は私が未来の王妃様を護る、と」

凛とした眼差しで、真摯に語るレイチェルの横顔からは、揺るぎない決意がうかがえた。

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