マ王の花嫁 
25
馬車から降りると、あたりは一面水田だった。
「うわぁ」と感激した声を上げる私の関心を引くように、ライオネル王が私の腕にそっと触れる。

「水田を見たのは初めてではないだろう?」
「そうですが・・ガンザでもここまで広い水田はなかったですし」
「あぁ、そうだったな」
「月並みな言葉しか思い浮かばないのですが、とても見事ですわ」

私たちが互いの目を見合っていたその時、ウルフが「キャンッ!」と一吠えすると、私の腕の中でモソモソと動いた。
どうやら平らで広い土地を見たウルフは、一刻も早く動き回りたくてウズウズしているようだ。

私は屈んでウルフをそっと下ろすと、ウルフはキャンキャン吠えながら、嬉しそうにあたりを駆け始めた。

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