マ王の花嫁 
さっき、ウルフの口を開けていた手つきもそうだったけれど、「狙い噛みか?ん?」とウルフに聞くライオネル王の声も、ウルフを見る王の目も、限りなく優しくて。

何故か私の胸の鼓動がドキドキと忙しなく、早く響いて、鳩尾周辺がキュンと疼く。

「だが毎回俺のブーツを噛まれるのも困るしな・・・クイーン」
「あ・・はい?」
「小犬専用の噛む玩具というのはあるのか」とライオネル王は聞きながら、ウルフをそっと下ろした。

ウルフはキャンキャン吠えながら、ライオネル王と私の足元を、ウロウロ歩いている。

「うーん、そうですね・・・骨、とか?」と私が言うと、「枝も良いですよ!」と周囲から声が上がった。
そこから、「これも良いのでは?」「今から創りましょうか?」と、方々から意見が飛び交う。

その場をまとめる十分な威厳を持ち、大柄な体躯ながら、とても繊細で優しい触れ方をされて・・・またしても、ライオネル王の意外な一面を見せられた気がする。

私は密かにフゥとため息をつくと、ウルフを殺そうとしたのではないかと、一瞬でも疑ってしまってごめんなさいと、心の中でライオネル王に謝罪した。

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