マ王の花嫁 
「・・・・・ぅぅっ。ライ、様・・・」
「サーシャの事なら大丈夫だ。殺してはいない」

涙を流す私を抱きしめながらそう言ったライオネル王に、「本当?」とエイリークが聞く。

「ああ。他ならぬおまえの頼みだったからな。クイーンも喜ばないだろう。今は手当室にいる」
「あ、そう・・・礼を言うよ、ライオネル。そして二度とサーシャにそんな血迷った事はさせないと約束する」
「行ってやれ」とライオネル王が言うとすぐに、エイリークは部屋から出て行った。

扉が閉まった音が聞こえた私は、「ライオネル様」と言った。

「何だ?ディア」
「・・・貴方に全て・・真実を全てお話します」
「私どもは席を外しましょう」と言ってくれたニコを見ながら、私は「いいえ」と答えた。

「ここにいてください・・・その、もしライオネル様がそれで良いと言うのなら」
「・・・おまえたちは部屋の外で待っていろ」
「ライオネル様・・・!」

それでもニコとレイチェル、マーシャルの三人は、不服な顔を全然見せずに「はっ!」と返事をすると、私たちに一礼をして、静かに部屋を出た。

< 313 / 400 >

この作品をシェア

pagetop