マ王の花嫁 
「ライオネル様。どうか・・・」
「長距離を早く駆けさせるためにジュピターを休ませたいだけだ。おまえの事を気遣ってなどおらん」
「あぁ・・・そうですよね、えぇ」

・・・私のためではなく、ジュピターのため。
それは至極もっともな事だ。
何と言っても、私はただジュピターの背に乗っているだけで、実際体力を消耗しているのはジュピターなのだし。

今は、背後にいるライオネル様の温もりを感じるだけで十分幸せだ。
この温もりを覚えていれば、明日ラワーレでライオネル様に殺されても・・・悔いはない。
ただ、フィリップとシーザー、ラワーレの村人たちの命の保証がちゃんとなされれば・・・私は心から安堵して死ぬ事ができる。

それから私たちが会話をする事は、3つめの国に入国するまでなかった。

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