マ王の花嫁 
「ディア」
「はい」
「王宮への道は分かるか?」
「はい。ここから西の方角へ・・・そうですね、馬だと20分弱くらいで着くはずです」
「そうか。おまえがフィリップ翁と住んでいた区域は」
「あそこは王宮の方角と真逆ですが」
「そうか・・・。日も暮れ始めている事だ、後でも良かろう」
「あっ!ライ・・・オネル様」
「どうした、ディア」
「フィリップは人質として王宮内にいるはずです。もし、国境兵から知らせを受けたドレンテルト王が、あなたがここに来たと知ったら・・・私たちが王宮に到着する前に、フィリップを・・・」

ライ様は生きて、ここを「訪問」しに来た上、碧眼とプラチナブロンドの髪を持つ女、つまり私も一緒だと分かれば、任務が失敗した事は明らかで。

そうなると、ドレンテルト王がどう出るかも明らかで・・・。

「・・・あり得ん事ではないな。町の様子を観察するため、ゆっくり出向いてやろうと思ったが。急ぎながら見れば良いか。飛ばすぞ!メリッサ、道案内を頼む」
「はいっ!」

こうしてまた、馬たちがハイスピードで走ってくれたおかげで、私たち一行は、10分足らずで(私にとってはあっという間に感じた)、ラワーレの王宮に到着した。
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