マ王の花嫁 
私の碧い眼は驚きで少し見開かれ、瞬きをすると、その勢いに押されて涙が頬を伝う。
それを、ライ様は人さし指でそっと拭ってくれた。

「故に、俺はおまえを“処刑”する気など、最初から無かったぞ。しかも“見せしめ的”にとは・・・悪いが聞いて呆れてしまった。一体おまえの想像力はどこまで逞しいんだ!?それこそ俺は“魔王”ではないか」
「いやっ。だ、だって・・・・・。ごめんなさぃ・・・」

しおらしく謝る私を、クスクス笑いながらライ様は見ると、優しい声音で「まあ良い」と言って、頭を一撫でしてくれた。
でも、「俺は」といいながら、私からドレンテルト王へ視線を移した時には、優しさの欠片も見当たらず、代わりに、鋭さと厳しさが増していた。

「いや、俺もおまえと結婚する気は無いと、ジョセフィーヌに言いたかっただけだ。もし見つかれば、そう伝えておいてくれ」
「・・・は・・・」

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