マ王の花嫁 
アイボリー色のドレスのスカート部分は、婚礼のドレスよりも少しだけふんわりと広がっていて、ペイズリー柄の刺繍が、同色の絹糸で施されている。
タフタの光沢具合と言い、贅沢な生地をふんだんに使ったドレスだ。

ニメットが私の腰まで届く長い髪―――ロドムーン王国へ出発する前日に、ジョセフィーヌ姫と同じ髪の色である、金色に近いブロンドに染め上げた―――を、櫛で丁寧に梳き始めた時、ライオネル王が部屋へ入ってきた。

ドアは開いているものの、ノックもなく、足音も立てずに歩いているのに、ライオネル王は、その威厳で周囲に圧倒的な存在感を示している。
端正な顔立ちをした大柄な王が近づいてくる様を、鏡越しに見ている私の碧い瞳が、一瞬揺らぐ。

「ライオネル様」
「クレイン王」

ニメットを始めとした侍女たちは、軽くお辞儀をしてライオネル王を出迎えた。
そしてお辞儀をした後、ニメットはまた私の髪を梳きながら、「いかがでございますでしょうか?」とライオネル王に聞くと、王は一度だけ頷いた。

< 47 / 400 >

この作品をシェア

pagetop