マ王の花嫁 
ライオネル王が大きく動くたびに、王の纏う朱色のマントが、上へ下へと優雅に翻る。
私は王にくっつくように、大きな手にしがみついて、ついていくのに精一杯・・・だけれど、このスピードだと、返って王の足を踏むことはないし、王のおかげで私はほとんど動く必要はないので、無様な姿を披露する必要もない。
と気がついた頃、私たちはダンスの演奏をしているオーケストラの方へたどり着いた。

ライオネル王が、指揮棒を小さくをふっている指揮者に、何か耳打ちをした。

「しかし、そのような曲をこのような場で演奏をしても・・・」
「構わん。皆も楽しめるだろう」
「かしこまりました」

指揮者はライオネル王に目礼をすると、両手をグッと上げた。
そして指揮者が再び指揮棒をふり始めると、オーケストラは、ゆっくりとしたワルツの曲から、軽快なリズムの曲を演奏し始めた。

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