マ王の花嫁 
その時、ドアが開いた音がした。
コツコツと靴の音を響かせながら、私たちの方へ近づいてくるライオネル王は、周囲に一陣の風を吹かせているような存在感を放っている。

昨夜私は、この御方を殺そうとした・・・あぁそうか。
私は、王妃として大勢の人前に出る心の準備ができてないんじゃなくて・・・あれからライオネル王に会う心の準備ができてなかったんだ。

私が偽ジョセフィーヌ姫だと、ライオネル王にバレているのではないか。
そして、私がライオネル王を殺そうとしていることが、すでに王にバレているのではないかと思うと、顔を合わせることが怖くて、罪の意識を感じずにはいられない。

それでも私は、ライオネル王のこげ茶色の瞳に吸い寄せられるように、王から目がそらせなかった。
なぜなら・・・。

「髪・・・切られたのですね」

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