見上げた空は広かった
アルベルト 1.4 天才に求められる最初で最後のものは真実の愛だ
次の日、教室に入るとハナが真ん中の端のの席に座っていた。
俺はどうせならと思い彼女の席の横に座る。

彼女は「おはよう」と声をかけると昨日みたいに穏やかな表情で微笑んだ。

2時間の授業は退屈を超えてなんといっていいか分からなかった。
全て前の大学で習った事ばかりで何一つ新鮮なものなど無い。

ハナはたまにアイパッドでランダムな動画を無音で見たりしていた。

話しかけようとしたけれど何も思いつかなかった。
もしかして昨日の事で不自然に思われているんじゃないかと不安にすらさせる。


授業が終わると彼女は「じゃぁね」といってとっとと席を外した。

俺はとっさに彼女の背中を追いかけて手を掴みたい衝動に駆られる。
周りが見ている中でそんなことはできない。

彼女にメッセージでも送るのが無難だろうか、わからない。

俺、一回ヤってしまったなんて昔もあったじゃないか。
なんでこんなに動揺しているんだろう。
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