恋のお勉強はじめました!〜まずはキスから〜
「あの人はここにいる」
午後2時過ぎ。

昼下がりの「B.C. square TOKYO」のロビーには、あの時と同じライラックのような香りが漂っている。

あの時は、一歩足を踏み入れることにさえも緊張して勇気が必要だった。

けど、今は違う。

ほのかは会社の制服を着たまま、らせん階段を駆け上がり、優雅さなんか微塵もなく、あのカフェに駆け込んだ。

息を切らしながら、あの店員の姿を探す。

あの人がいれば何か分かるかもしれない。

はやる気持ちを抑えながら、息を整えようと胸を押さえて店の中を見回した。

「あ!」

ほのかは思わず声をあげて、その人を見つけた。

店員さんが、私を振り返り・・

逃げた。

明らかに「わっ」て顔をして。
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