ハイスペックイケメンなんてお呼びじゃない!~バツイチナースは恋に無関心~

恋するビルの可愛い天使 side航平

さっそく翌日の朝。

聞いた通りエントランスホールが見える2階カフェでコーヒーを飲みながら彼女と娘さんが出勤するのを待つ。

未だかつて無いほど胸がはずむ。
そわそわとした心地。
でも決して嫌ではない。
仕事では感じ得ない高揚感に心が穏やかになっている。

仕事をしてる時は表面上は穏やかでいても内心は常に張り詰めている。
弁護士という職業柄当たりが良いのは必要不可欠であるがそれでいても隙は見せられないのだから。

7時30分。
彼女は小さな娘さんと手を繋ぎエントランスホールに現れた。
娘さんはツインテールの長めの髪で、クリっとした目の可愛らしい利発な感じの元気の良さそうな子だった。

娘さんは管理人の田中さんと言葉を交わしている。
その横で彼女はとても朗らかに微笑んでいる。

その光景はとても心なごむものだった。

彼女の子は少し話したあと田中さんに手を振り彼女もお辞儀をして商業施設フロア専用エレベーターに向かって行った。

2人は終始ニコニコと楽しそうに会話している。
娘さんのリュックには可愛い天使の羽が着いていた。
ニコニコと愛想の良い感じからして恋するビルの天使と言った所か。
大変微笑ましい光景であり、仲のいい母娘なのが見ていてよく分かった。



そしてその光景は他所の男性たちも和やかに見守るような光景だが、中には彼女に好意を寄せているような者もちらほら見掛けた。

俺は人を見るような仕事なので、その辺りの機微には聡いと思う。

これはゆっくりしていられない。
誰かに手を出される前に何とかしなければ。

俺はさっそく美春にメールした。

『彼女達に会える段取りをつけてくれないか?』


『分かった。予定が決められたらメールするわ。』


気持ちも一段落して仕事モードに切り替えて今日の外回りに出掛けることにした。


彼女達にちゃんと会えるのがとても楽しみになった。

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