俺が愛した、あおいの話
嫌な女だなぁ、、、わたし。

お店に向かうタクシーの中で、流れる景色を見ながら思った。

嫌な女だなぁ、、、わたし。
平気でウソつく女になった。

迎えに来てって、幼なじみが、、、
電話は一緒にいる人からで、、、
寝ちゃうとか、ほんと迷惑だよね。
明日また連絡するから!

電話を切ったあと、彼に言った。
行かない選択肢なんてなかった。

あり得ないとかめんどくさいとか、
口では言ったが、気持ちは違った。

ハプニングに感謝していた。
今日は会えないと思ってたから、、、

わたしが頑張る原動力は、
いつだって和也だけだった。

「じゃあ、行くね!ほんとにゴメンね」
「分かった。また明日、気をつけろよ」

小さく手を振り背中を向けた。
瞬間、わたしは微笑んでいた。

和也に会えるし、楽勝な彼氏…
全てが思い通りだった。

「さやかっ!」

名前を呼ばれてピタリと止まった。
表情もすぐに真顔に戻した。

いつもより声が鋭く感じた。
嫌な予感がプンプンしていた。

「…なあに?」

「幼なじみって、女の子だよね?」

こういうことを訊く人じゃなかった。
そういうところを好きになったのに、、、

いや、違う。多分、好きじゃないんだ。
今までもずっと、これからもきっと、、、

「当たり前でしょ?女の子だよ」

そろそろだなと確信する。
いつもと同じく、わたしはフラれる。
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