俺が愛した、あおいの話
大通りでタクシーを止め、小走りでお店に向かった。

あそこかなと目星つけた先には、入口の前に人がいた。

目を凝らしながら髪を整えて、だんだんと距離を詰めていく。

だけど違った。女が一人と、チャラチャラした学生だった。

店の中かな?営業してるの?

場所は電話で詳しく聞いた。
セブンの目の前、隣はスナック。

ここで合ってるはずなんだけれど、、、
お店は閉まっているようだ。

コンビニの前をうろうろしながら、
バックからスマホを取り出し、
電話をしようと思ったその時、
「さやかさんっ!」声をかけられた。

学生にナンパされてた女が、突然わたしの名前を呼んだ。

この声は、、、すぐに一致した。
和也の後輩の「…ひとみ、さん?」

チャラチャラした学生達は、舌打ちしながらどこかへ散った。

どうやらわたしが女であっても、対象にはならないらしい。

別に構わない、あんなクソガキ。
こっちも全然興味ない…のに、
どこか寂しくて、なんだか虚しい。

若くない。もう、この子のようには、、、

「来てもらっちゃって、すいません!こんな時間に呼び出して」

「それは平気よ。それより和也は?お店はもう閉まってるでしょう?」

「ごめんなさいっ!ほんとすいませんっ!」

彼女は再び頭を下げて、和也はもういないと言った。目覚めてそのまま帰ったらしい。

「…そうなの」

「だいじょうぶーとか言ってましたけど、それでも心配だったんで、山田さんが付き添いました!電話に代わった男の人です」

「…そう」
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