許し方がわからなくて
『最初に約束したよ。浮気は許さないって。他の人に触った手で触られたくない。気持ち悪い。』

「椎!」

臣が焦って私の腕を掴もうとする。

咄嗟に後退りしてしまう私の体。

身も心も拒絶してしまう。

だから、もう無理だって言ったのに。

『新しい部屋の解約よろしく。同じビルで働いてるけど、会っても声かけないで。顔も見たくないから。』

「椎!お願いだからっ…。昨日会った先輩とも、もう飲みに行かないから…。何でもするし、何でも聞くから許してほしい。椎のこと離したくない。大好きなんだよっ。」

泣きそうな顔。

両腕を掴まれて、小刻みに震える私の体は正直だ。

『お願いだから、触らないで…。その匂いに吐きそう。』

気持ち悪い。

大好きなら理性位保ちなさいよ…。

あとから後悔しても遅いのよ。

今は何言われても信じられない。

この先もずっと。

疑って疑って一緒にいるのは、私にはキツすぎるから。

だから、もう無理なのよ。

私は…許し方がわからない。
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