許し方がわからなくて
杏と歩きだした私に向かって、未だに座り込んだままの臣が名前を呼ぶ。

こんなに冷たい声を今まで、臣にだしたことなんてないってくらいの声音で。

『私の名前、呼ばないでください。呼ぶなら美堂(みどう)って名字でお願いします。さよなら。市瀬くん、またね。』

視線をかなり感じながらも、市瀬くんしか見ない。

あんな勝手な人、視界に入れたくもない。

別れたくないなんてまだ言うなら、別れたいって気持ちにさせるまでだ。

徹底的にイヤな女になってやる!

私の決意を甘くみないでね。

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