最後の恋
彼にお休みなさいと返そうと、涙を拭った顔を上げるとタケの後ろに見えたその姿に私の目が見開かれていく。


そんな私の様子に気づいたタケが後ろを振り返ろうとしたのと、彼がタケの肩を掴んだのはほぼ同時だった。


「…!!」


余りに驚きすぎて声が出なかった。


タケはいきなり肩を掴まれ後ろに引っ張られた事で体勢を崩し廊下にお尻をつく形で倒された。


私は、一ノ瀬君の方に一瞬視線を向けた後、倒れたタケに駆け寄るようにしゃがみ込み声をかけた。


「タケ!!大丈夫?」

「ああ…俺は大丈夫だから心配すんな…。それより誰なんだ?もしかしてさっきの…!」


タケは突然身に降りかかったその出来事に相手の顔も確認する間もなかった様子で、相手がさっきのストーカー男かもしれないと思ったのだろう。


そして、相手がタケだとは思っていなかったのは一ノ瀬君も同じだったようだ。
< 149 / 277 >

この作品をシェア

pagetop