最後の恋
「…まだ怖い?」


彼の腕の中で小さく首を横に振った私に安心したように彼がほっと息をついた。


それから、さらにぎゅっと腕に力が込められると


「今日からは俺が杏奈を守るから。何も心配しなくていいから…。」


そう言って見上げた私の瞼に彼のキスが落ちてきた。


「杏奈…愛してるよ。」


耳元で囁かれた彼の優しい声に、心が大きく震えて泣きそうになった。


もう少し…彼の腕の中でこうしていることが許されるなら…最後のその時まで私は笑顔で幸せだけを感じていたい。


そう思った夜だった。
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