最後の恋
空はまだ真っ暗だった。


始発もまだ動いていないその時間…


タクシーに乗りホテルから走り出した直後、一瞬気が緩んだ。


一筋、ツーっと頬を流れた涙の雫が、今はもう何もない首筋に落ちた…。




いったん自宅に戻るとシャワーを浴びて2、3日分の荷物を持ってもう一度自宅を出た。


駅に向かうと、もう始発も動き始めていた。


普段、通勤で使うホームに向かい、直後に来た電車に乗り込んだ。


ガラガラの車内の長椅子に座り、ポールに頭を預ける。


携帯の電源はずっと落としたまま。


彼はまだ気づかずに寝ているかもしれないし、私がいないことに気づいてしまったかもしれない。
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