最後の恋
ほとんど寝ていないけど、眠くはなかった。


彼は最後まで、別れるという私に首を縦に振らなかった。


彼が何を考えているのか分からなかった。


紫乃という婚約者がいるのに、私とも続けようとするなんて……


何も聞けない私が臆病なのかもしれないけど、勇気を出して聞いたところで聞かされるのは彼の口からは聞きなくない真実でしかない。


仕事で彼と会わないことは避けられないけど、今年の仕事も数日しかない。


それさえ乗り切れば、両親と静岡の祖母の家でゆっくり年を越せばいい。


いつも降りる会社のある駅を通り過ぎ次の駅で降りると、駅のすぐ近くにあるホテルにチェックインをした。


仕事納めまでの3日間をこのホテルで過ごすことにした。


部屋に入った私は、ベッドの上に仰向けに寝転び腕で顔を覆う。


今は何も考えずに眠りたかった。
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