最後の恋
先生の私を呼ぶ声なんて全く耳に入ってこなかった。


ぼーっと頬杖をつき外を眺めていた私を隣の席の谷口くんがつついてきた。


我に返ると先生に名前を呼ばれ、その上クラスのみんなの視線まで浴びていた。


「あ…はいっ!」


慌てて返事をしたけど、先生の顔は少しだけムスッとして見えた。


「授業中はボーッとせずに先生の話をちゃんと聞くようにね!」

「はい…すみませんでした。」

「次からは気をつけて。じゃあ、P45の和歌を読んで。」

「はい…」


席を立ち教科書を読み始めた。
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