最後の恋
「タバコ、意外だった?」

「……え?」


さっきの顔に出てたのかな?


「何となく、そんな顔してたから。」


そう言った彼女は気分を害した風でもなく微笑みを浮かべた。


「あ…ごめん、別にそんなつもりはなかったんだけど…。」

「ううん、いいの。自分が一番以外だと思ってるから。」


彼女の表情が少しだけ寂しそうに見えた。


「なんだろう…母の前ではいい子でいなきゃ。心配かけないようにしなきゃってずっと思ってその通りに頑張ってたんだけどね。いい子でいる事に疲れちゃった時があって、何でもいいから羽目を外してみたくなったんだよね。初めて吸った時は、クソまずくってこんなの無理って思ったのにね…。」

「……そうだったんだ…。」


私は彼女になんて答えるのが正解が分からなくてそれしか言えなかった。
< 227 / 277 >

この作品をシェア

pagetop