最後の恋
この和歌のように相手に知られることのない片思いは苦しいと分かっていても、私がこの先、彼に気持ちを打ち明ける事はきっとない。


例え苦しく叶わない恋だとしても、彼を自然に諦められる時が来るまでは、誰にも知られることなく密かに彼を想い続ける事しか出来ない。


誰かを想い胸を焦がし痛める…それでもその誰かを想う気持ちだけは簡単には消すことが出来ないから。


結局、この日の私は紫乃の顔をまともに見ることが出来なくて “ 用事があるから ” という理由でHRが終わるとすぐに教室から逃げるように飛び出した。


紫乃が悪いわけじゃないのに……


明日からはちゃんと今まで通りでいるから、今日だけはごめんね。


彼女に届かない謝罪を心の中で繰り返していた。
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