最後の恋
別れないと言う彼は、私を愛人にでもするつもりなのか。


そんな残酷な言葉を放つ彼を好きになったのも私。


最初から分かった上で、それでも彼との始まりを望んだのも私。


始まりとともに決めていた彼との別れを、今日まで誤魔化しながら先延ばしにしてきたけれど、これ以上はもう限界だった。


捨てるものは、自分の心だけ。


そして、残されたのは汚れてしまった初恋の思い出だった。


あの頃のまま、片思いの恋で終わらせておけば今も綺麗な思い出として心の中に置いておけたのに。


こんな事なら再会なんてしない方が良かったのかもしれない。
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