幸せになってもいいですか?
タイミングよく、電車のドアが開き
何事もなかったかのように
3人を残し歩き出した
ホームを出ると
見慣れた顔がいくつか見えた
「紗枝さん、おはよう」
『ミカちゃん、おはよう』
「今日はネイルだから楽しみ」
同じクラスのミカちゃんはまだ18歳…
殆どの人がまだ未成年だ
10歳以上も年上の私に
気さくに話しかけてくれてありがたい
これが私の新しい生活だ
「紗枝さんのメイク…好きだな」
一緒に暮らしていた頃
奏くんに言われた一言
会社に行く時
OLなら当たり前のことだが
奏くんはいつも
私のメイクしている時
嬉しそうに見ていた
大学時代、学祭でメイクが必要な時
私がしてあげると喜ばれたことがあった
もしかしたら、私に合ってるのかも…
一緒には働けないかもしれない
でも、少しでも奏くんの近くにいたい
そう思って進んだ道
ヘアメイクアーティストになること
【完】