どんな君でも、愛おしくてたまらない。
環くんは一度唇をつぐんで、数秒してから、呟くように言った。
「――俺、病気なんだ」
弱々しい風が、わたしと環くんの間を縫っていく。
なびく髪を、右手で抑えた。
病気?
それを理解したのは、風が過ぎたあとだった。
「どんな病気なの?」
「人より成長が遅い病気」
「それって、成長障害や小人症とは違うの?」
「ちょっと違うかな。身長も骨格もそうだけど、全体的に老化するスピードが他の人より格段に遅いんだ」
年齢が異なるはずの二人が同一人物である真実が、胸を締め付ける。
「この病にはあんまり前例がなくて、明確な治し方も薬もないらしくてさ。ときどき検査して進行具合を窺ってるだけ。成長が遅い分、体や臓器にはすごい負担がかかって、よく体調を壊すんだ」
環くんがよく保健室にいたのは、サボるためなんかじゃない。
病気に苦しんでいたんだ。