どんな君でも、愛おしくてたまらない。
急がないと、授業が始まっちゃう。
「筆箱取りに戻るね」
「移動教室の場所、わかる?あたしも一緒に行こうか?」
「場所は覚えてるから平気だよ。先に行ってて」
わたしは、咲間さんの優しさだけ受け取って、教室へ走っていった。
早くしないと!
焦りながら教室に入ろうとしたら、誰かとぶつかった。
「ご、ごめんなさいっ」
「悪い……って、莉子ちゃん?」
声につられて目線を少し上にずらす。
ぶつかった相手は、環くんだった。
「何してんの?授業始まるよ?」
「筆箱、忘れちゃって」
苦笑しつつ、わたしの席に置いてあった筆箱を手に取る。