I・N・G
センセーは恨めしそうに私を見ながら盛大にため息をついた。
「てかさ、お前、オレの外見だけが好きなんだろ?」
「は?」
「だから、”は?”言うなっつてんだろ、バカ」
「だって!そんなひどいこと言われると思わないからっ」
眉間にシワが寄ってる。
メガネ越しに見ていたセンセーの瞳がなんだか違って見える。
「じゃあ、オレの好きなところ100コ書いて提出しろ」
「えぇ!?」
「オレのこと外見だけじゃなく好きなんだろ?」
何度も大きくうなずいて意思表示。
「じゃあ、それくらいたやすいだろ」
「待って待って待って!じゃあ、それ提出したら?」
ゴクリとツバを呑みこんでセンセーをじっと見ると、センセーがプイッと顔をそらした。
センセーが照れてるように見えるのは気のせいかな。
「お前、オレのことずっと好きだったんだろ?じゃあそれくらい察しろよ」
センセーは慌ててメガネをかけると私に背中を向けて黒板のほうへ歩き出した。
私はその背中に抱きつく。
「好き!」
「知ってる」