世界が必要無いとしても
そんなことを思いながら漠然と歩いていると、

いつの間にか全く知らないところまで来ていた。


あーあ、迷っちゃったよ。

あんなことを考えているからだ。

これから先どうしよう。


そんなことを考えていると、ふと目の前にいる男の子に気がついた。

その子はどうやら絵をかいていたようで。

私の視線に気付くと、

「やぁ、こんにちは。」

そういって、柔らかく微笑んできた。


変わってる。

そう、直感で思った。

こんな私に挨拶をしてくるなんて。

こんなに惨めな人なのに。

だけど彼は私の思考お構いなしに、

「ねぇ、君の絵、描いていい?」

「は?」

おもわず、素っ頓狂な声が出た。


私の驚き用に、彼も驚いていた。

「え?なんか僕、おかしなこと言った? ぼくはただ、君のさっきの顔があまりにも頭から離れないんで、このノートに収めておこうとおもったんだけど。」


そう、また柔らかく微笑みながら言った。


「え?」

私の顔を?描く?

こんな惨めな人を?

「駄目。やだ。だって私そんな人間じゃない。」

「そうかな。僕には君のさっきの表情がどこかきれいに見えたんだけど。」

きれい…?

何それ。

「そんなこと言って、私を慰めようとでも言いたいわけ?」

「え?   なんか、ごめん。」

はぁ、何やってんだろう。


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