王子様はパートタイム使い魔
眉間にしわを寄せて何度も首をひねっているツヴァイを、リディが唐突に抱き上げた。
「なに難しい顔してるの?」
「いや、別に……」
「私が王宮魔女の孫だってことが不思議? 未熟すぎるものね」
「それは別にどうでもいい。ただ、なぜ呪われるほど怒らせたのか考えていた」
リディは意外そうに目を見開いた。そして少し嬉しそうに微笑んで首をかしげる。
「どうしてかわかったの?」
「いや、ますますわからなくなった」
はじめて言ったときと結論は変わっていないのに、リディは一層嬉しそうに笑顔を深めてツヴァイを抱きしめ頬ずりをする。そして抱き上げた視線の位置を合わせるとまっすぐ見つめた。
「続きは家でじっくり考えてね。今日はそろそろ時間よ」
そう言ってツヴァイの口元にキスをした。
白煙と共にツヴァイはユーリウスへと姿を変える。見上げていたリディの顔が見下ろす位置にある。警戒していたこれまでと違って、リディは微笑みをたたえたままだった。
今なら唇にキスできるかも。と一瞬思ったが、ユーリウスはリディの頬に軽く口づけて笑みを浮かべた。
「じっくりと考えてみることにする。じゃあ、また明日」
「えぇ。また明日ね」
いつも通りに挨拶をして、ユーリウスはリディの家を後にした。